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海外との取引に必要なインコタームズ(貿易条件)とは?【全種類を解説】

インコタームズとは

インコタームズ(International Commercial Terms)とは貿易取引において
【売り手】と【買い手】間で

  • 運賃の支払い範囲
  • 貨物の責任範囲
  • 貨物引き渡しの分岐点

を決定させる国際的な取り決めを定義したものです。

輸出入を行う際には、取引を行う各国によって法律や習慣は異なります。
輸送中のトラブルが発生したときに責任の所在をあらかじめハッキリさせ、紛争や両者間でのトラブルを未然に防ぐ目的で作られました。

インコタームズの種類

インコタームズにはすべての「すべての輸送手段に適した規則」と「海上輸送に適した規則」の2グループに分かれ、合計計11種類の条件が存在します。
全ては条件はアルファベット3文字で略称されて使われることが一般的です。

それでは各条件の詳細を見ていきましょう。

すべての輸送手段に適した規則

海上・空輸・陸送すべてで使用される7つの貿易条件です

EXW Ex Works (工場渡)

売主が指定した自社工場や倉庫などで、商品の買主へ引き渡しを行い、その後の輸送費用やリスクはすべて買主側の負担となります。
商品を受け取るためのトラックの手配や積込作業時のトラブルも買主側の責任となり、各条件の中で最も買主側に負担が大きく、売主側にとっては最も負担の少ない条件です。
輸出国から輸入国への一連の手続きは買主が手配して行うことになります。

FCA Free Carrier (運送人渡)

FCAは輸出地の決められた指定場所で買主が指定した運送人に商品の引き渡しが完了した時点で、リスク負担が買主側に移ります。
引き渡しの指定場所が売主の向上や倉庫の場合、売主がトラックなどへの積込の責任を負います。
また輸出国からの輸出通関手続きは売主側の手配となります。

CPT Carriage Paid To (輸送費込)

CPTは輸出地で売主が指定した運送人に商品を引き渡した時点で、売主から買主へリスク負担が移る条件です。
商品のリスク負担は引き渡し完了時点で買主へ移りますが、CPTの場合、指定仕向け地までの輸送費用および輸出通関手続きの手配は売主が行います。

CIP Carriage And Insurance Paid To (輸送費保険料込)

CIPはCPTと同様、輸出地で売主が指定した運送人に商品を引き渡した時点で、売主から買主へリスク負担が移る条件ですが、指定仕向け地までの輸送費用、輸出通関手続きに加えて保険料に関しても売主が負担する条件です。

DAP Delivered At Place (仕向持込渡)

DAPは輸入国の指定仕向け地で輸入通関前の商品引き渡し時に、荷降ろし準備が完了した時点でリスクと費用負担が買主に移る条件です。
また、輸入通関手続きは買主が手配し行います。
例えば海上輸送の場合、輸入地に船が着港した際にすでに下記のような状態で、商品へのダメージがあった場合、その負担責任は売主が負います。

しかし問題無く船が港に入り荷降ろし準備が完了、下記のように船からコンテナを下す際に万が一事故が発生した場合は買主がそのリスクを負担することになります。

DPU Delivered at Place Unloaded (荷卸込持込渡)

DPUは輸入国の指定仕向け地で商品の荷降ろしが完了時点で、リスクと費用負担が買主に移る条件です。荷降しのリスクと費用を売主側が持つので、DAP条件より売主の責任範囲が広い条件です。
DAP同様、輸入通関手続きは買主が手配します。

DDP Delivered Duty Paid (関税込持込渡)

DDPは輸入国の指定仕向け地での輸入通関が完了後にリスクと費用負担が買主へ移る条件です。
輸入通関手続き費用、輸入国での関税、消費税等の全てを売主側が負担するので、各条件の中で最も買主の負担が少ない条件です。輸入国の通関手続きを売主の手配で行うことになるので、通関許可が取れないような場合は、このDDP条件を避けるほうが良いでしょう。
クーリエのような一気通貫で簡易通関を行う出荷の場合はDDPが使用される場合があります。

海上輸送に適した規則

主には海上輸送で使用される4つの貿易条件です

FAS Free Alongside Ship (船側渡)

FASは指定船積港で本船の船側に商品を置いた時点で、売主の引き渡し条件の義務を満たしたものとされ、以降の負担は買主に移ります。輸出通関手続きは売主が手配を行います。
船への積み込み方法はコンテナだけとは限らないので、その船の慣習に従う形で商品を置くことを条件としています。
例えば木材などをコンテナではなくバラ積みで輸送するような在来船での手配の場合はこの条件が適す場合があります。

FOB Free On Board (本船渡)

FOBは指定船積港で本船の船上に商品を置いた時点で、以降のリスク負担は買主側に移ります。
本船への積込みリスクおよび費用、輸出通関手続きは売主が手配し行います。

CFR Cost and Freight (運賃込)

CFRは売主から商品の受け渡し場所条件はFOB条件と同様ですが、指定仕向け地までの輸送費用を売主が負担するという条件です。
指定仕向け地までの輸送期間中、そのダメージ等の保険料は買主側が負担する必要があります。
CFRはC&Fと表記されることもありますが、正式名称はCFRとなります。

CIF Cost, Insurance and Freight (運賃保険込)

CIFは売主からの引き渡し場所、危険リスクは上記のFOBやCFRと同様ですが、CFR条件の運賃を売主が負担するのに加えて指定仕向け地までの保険料を売主が負担する条件です。

下記で各条件の図解で買主/売主の費用負担範囲と危険リスク範囲をご参照下さい!

【各貿易条件一覧】

【各貿易条件負担範囲一覧】

まとめ

ここまでインコタームズ2020に基づいた全11種類の各貿易条件をご紹介していきましたが、使用頻度の高いものから滅多に使われない貿易条件まであります。
資格取得や試験を受ける目的でない限り全てを覚える必要はありませんが、例えば海外の代理店や顧客と新規に売買契約を締結する際はお互いに各貿易条件を理解した上で、取引をスタートさせないと後々トラブルにつながる要因となってしまいます。
そういった際に見返せるようにブックマーク登録をしておくと便利です!

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